静岡県産素材の活用を目的とした化粧品原料素材評価試験の結果報告
(機能性評価試験)

静岡県は柑橘、花、樹、野菜、茶等の栽培が盛んであり、また海産物の収穫も高く、全国有数の農林水産物の生産県です。この豊かな資源を更に生かすべく、フーズ・ヘルスケアオープンイノベーションセンターでは、県内農林水産物の新たな活用を目的とした化粧品原料素材の開発支援を行っています。

化粧品原料素材の開発支援の一つとして静岡県工業技術研究所と協力し、静岡県産農林水産物の蒸留油や抽出エキスを用いて化粧品原料素材の評価試験を行いました。

今回27種の素材で評価試験を行った結果、14種の素材で効果が認められましたので報告いたします。

試験期間:令和元年10月~令和2年1月

試験名   :

①ヒアルロニダーゼ阻害活性試験:ヒアルロン酸の分解抑制を評価します。
皮膚の保湿や抗炎症効果の指標になります。

②チロシナーゼ阻害活性試験      :メラニンの生成抑制を評価します。
新たに作られるメラニン色素の減少効果の指標になります。

③エラスターゼ阻害活性試験      :エラスチンの分解抑制を評価します。
皮膚のハリ、弾力に対する効果の指標になります。

④DPPHラジカル消去能試験       :活性酸素の発生抑制を評価します。
活性酸素が関与する光(紫外線)老化に対する効果の指標になります。

結果    :

評価試験項目 効果が見られた素材
ヒアルロニダーゼ阻害活性 ダイダイ果皮、ダイダイ果実、夏ミカン果皮、ヒノキ材、ハマナス実、白びわ葉、青ミカン果実、茶抽出物
チロシナーゼ阻害活性 ヒノキ材、ヤブニッケイ枝葉、茶の実、ハマナス花弁、
白びわ葉、茶抽出物
エラスターゼ阻害活性 葉ショウガ根、白びわ葉、茶抽出物
DPPHラジカル消去能 ダイダイ果皮、ダイダイ果実、ヒノキ材、ハマナス花弁、ハマナス実、葉ショウガ根、ワサビ茎、青ミカン果実、茶抽出物、メロン胎座+果皮

考察   :

今回行った4つの試験すべてに茶抽出物は効果が認められました。茶抽出物は、化粧品原料素材として幅広い可能性が示唆されます。次いで白びわ葉では、3つの試験に活性が認められ、化粧品素材として活用しやすいと思われます。また、今回評価した素材中、メラニンの生成を抑制したものは6種、エラスチンの分解を抑制したものは3種、活性酸素の発生を抑制したものが10種あり、静岡県産物素材の特徴を生かした化粧品原料開発に繋がることが期待できます。さらに評価したサンプルの半数で化粧品原料としての効果が認められたことから、数多い静岡県産物の探索を進めることで、特色ある化粧品原料素材を多く得ることが出来ると考えられます。

なお、評価サンプルは素材の蒸留油や抽出エキスとして調整しており、化粧品原料用に加工した物でなく、サンプルに含まれている成分(含有成分)及び濃度についても調査しておりません。含有成分の比率や濃度等が異なる場合には、別の結果となる可能性があります。本結果のみで化粧品原料素材としての可否を断定するものではありませんので、ご留意ください。

本試験にご興味、ご質問がありましたら、フーズ・ヘルスケアオープンイノベーションセンターへお問い合わせください。